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高尿酸血症患者の尿酸濃度変動について

T.はじめに

高尿酸血症が長期間にわたって継続すると、急性関節炎、すなわち痛風発作を起こすことになります。また、治療せず放置しつづけていると、腎障害と言う重篤な状態になると考えられています。

それでは、高尿酸血症が何故発症するのでしょうか。

従来では、プリン体を含有する食物の多量摂取によるものが原因とされていましたが、現在では、血液中尿酸の大部分が、食物中のプリン体に由来するのではなく、体内で合成されたプリン体に由来するものと考えられています。
すなわち、高尿酸血症の原因には、体内で尿酸を産生することが増加して起こる「尿酸産生過剰型」と、体内から尿酸の排泄が低下して起こる「尿酸排泄低下型」の2種類の尿酸代謝異常が考えられています。
さらに、現代の豊かな食生活だけが高尿酸血症になる原因ではなく、現代社会構造が生み出した複雑なストレスの蓄積が寄与していると考えられています。

従って、今回、高尿酸血症についての文献を収集すると同時に、高尿酸血症を持つ患者の投薬量の変化やアルコール飲酒量の変化、現代社会がもたらすストレスにより尿酸濃度がどのように変動していくのかの基礎的な研究を行います。


U.高尿酸血症(痛風)の概念

1.古代からの病気 高尿酸血症(痛風)は、世界的に見ると非常に長い歴史を持つ病気で、西洋においては古くからあるおなじみの病気です。
エジプトから発掘されたミイラの関節の中に尿酸塩を見つけたと言う報告もあれば、医学の父と呼ばれるヒポクラテスが残した文献にも痛風についての報告があります。

歴史上の人物をあげても紀元前四世紀の古代マケドニアの英雄アレクサンドロス大王をはじめ神聖ローマ帝国皇帝のカール五世、プロイセン国王フリードリヒ大王、フランス国王ルイ十四世、宗教改革のルター、清教徒改革のクロムウェル、芸術家のミケランジェロ、モナ・リザの作者であるレオナルド・ダ・ビィンチ、詩人のダンテやミルトン、文豪のゲーテ、スタンダールやモーパッサン、天才物理学者ニュートン、博物学者ダーウィンなど痛風に苦しんだ人物をあげたらきりがありません。

しかしながら、その発症は、一般市民ではなく、長期間にわたって動物性タンパク質を多く摂り、アルコールをよく飲む裕福な人に限定されていたため、痛風を「皇帝病」または「贅沢病」と呼ばれていました。

それでは、日本においてはどうだったのでしょうか。
安土桃山時代に日本を訪れたポルトガル人宣教師のルイスフロイス、明治の初めに来日したドイツ人医師ベンツがそれぞれ日本には痛風が無いと記録していました。

すなわち、日本においては、食生活の変化等により通風が実際に増え始めたのは、つい最近の1960年代以降のことです。実際、通風の発症件数は、1898年から1959年までの62年で83例しか確認されていません。
また、厚生省の受領調査では1970年には6,700例、1984年には10,600例、1990年には12,700例、現在では600,000人を下らないと言われるまで痛風患者は増加し続けており、食事内容の変化に加え、社会構造の変化がその原因と考えられています。

2.定義 体内において高尿酸血症が長期間にわたって継続すると、体内のさまざまな場所に結晶が析出します。
これは、血液中に溶解している尿酸が高濃度になるに従って、過飽和状態となり、尿酸ナトリウム塩という結晶ができるためである。 この結晶ができる場所が、関節であれば急性関節炎となり「痛風」といい、その関節炎の発作が「痛風発作」です。また、結石が腎臓内にできれば「腎臓結石」、膀胱内であれば「膀胱結石」と言われています。

3.続発性と原発性 痛風には、他の疾患や障害により二次的に痛風または高尿酸血症をきたすもの(続発性)と、他に原因が見当たらないもの(原発性)に分類することができます。また、非常にまれであるが遺伝性酵素異常症によるものもあります。
現在の痛風の大部分は、原因がはっきりしない原発性痛風に分類されており、その多くは、遺伝的性質と環境因子の両方に原因があると考えられている。

4.発症頻度  次のことをヒポクラテスは述べています。
○ 虚勢した男性は痛風にならない。
○ 女性は生理がある年代では痛風にならない
○ 男性は思春期になると痛風が起こる。
現在においても、痛風の発症頻度は、成人男性に多く、女性患者数は男性の数%程度です。
女性患者数が少ない理由としては、女性ホルモンに腎臓から尿酸を排泄する働きがあり、血液中の尿酸値の上昇を防いでいるからであると考えられている。その理由は、閉経後の女性ホルモンの分泌が減る50歳を超える女性において、尿酸濃度が男性に近づいて上昇する傾向があります。 しかしながら、最近では、食生活等の影響により、若干、異なる傾向になりつつあります。
例えば、ワインなどのアルコールを習慣的に多量に飲む若い女性が増えつつあり、現代社会の食生活やストレスなどにより、若い女性の中にも痛風患者が増える傾向にあります。 また、痛風に発症しやすい年齢については、今から40年ほど前には50代が一番多いと報告されていましたが、30年前には40代に移り、現在では30代が最も発症しやすい年代になっています。また、最近では、幼い時期からインスタントラーメンやファーストフードを食べつづけ、学生のときから受験勉強等の強いストレスを受け、20代前半からアルコールを多く飲む習慣がついた若者が増加しているため、20代の痛風患者が増加する傾向にあります。

5.尿酸の生成と排出
尿酸は「プリン体」という物質の老廃物です。
プリン体は筋肉が使用されるときのエネルギー伝達物質である「アデノシン三リン酸」の元になる物質であり、生命にとって大変重要な物質です。
図−1のとおり、一日に摂取されるほとんどの食品及び一部のアルコール飲料には、プリン体が含まれており、体外から取り込まれたプリン体により、1日に100mgの尿酸が作られます。
また、食事として摂取されたたんぱく質などからプリン体が体内で作られ、アデノシン三リン酸などとして利用された後に分解され、尿酸が1日に600mg作られます。

さらに、体内では、常時、1,200mgの尿酸がプールされているので、
体内に入り込んだ尿酸は、腎臓から500mg、汗など腎臓以外から200mgが排泄されます。

               
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6.アルコールによる血中尿酸値 アルコール飲酒には、血中尿酸濃度を上昇させる二つの要因がある。
図−2のとおり、その一つは、アルコールにより、乳酸代謝が亢進され、
乳酸産生が亢進されるため、乳酸が、腎臓からの尿酸の排泄を抑制するためである。


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もう一つは、アルコールが尿酸の代謝を促進させて尿酸濃度が上昇するためである。
しかし、実際には、後者は相当大量かつ継続的に飲んだときにしか発生せず、
通常の飲み方をしている場合は、前者の乳酸による排泄抑制が、血中尿酸濃度の上昇原因と考えられる。
なお、高尿酸値血症とは関係ないが、九州大学第二内科が福岡県久山町において長期に渡って行われてきた研究によると、一日に日本酒に換算して1.5合以上を飲む人は、まったく飲まない人に比べて脳出血の発症率が飲酒量とともに増加し、また1.5合以下を飲む人は、まったく飲まない人と比べると脳卒中の発症率に低下が見られたことが報告されている。
これは、現在社会においては、少量のアルコールの飲酒が、ストレスの解消、言い換えると、健康管理に非常に重要なものであると考えられる。

7.病態生理
血中尿酸濃度は、血清中で7mg/dl程度で飽和状態に達し、それ以上では過飽和の状態となり、結晶化の可能性がある。関節内に尿酸塩の結晶が析出すると、多核白血球がこれを異物として貪食を始め、これが契機となって激しい炎症が起こることになる。
体内の尿酸の蓄積は関節炎以外にもいくつかの障害を引き起こす。
皮下に尿酸塩結晶が沈着すると結節を形成し、痛風結節といわれる。
腎臓の髄質にもしばしば尿酸塩及び尿酸の結晶が沈着し、これが、髄質障害を主体とした痛風腎の原因となる。
腎杯や腎盂には、尿酸塩でなく、尿酸結晶が沈着する。
また、尿のpHが下がると尿酸結晶がますます析出しやすくなり、次第に融合して尿酸結石を形成する。さらに、不明のメカニズムにより高尿酸血症者はシュウ酸カルシウムやリン酸カルシウム結石の頻度も高いことが知られている。
痛風の原因は体内に尿酸が蓄積することであり、人類全体が尿酸酸化酵素欠損となったため、遺伝的形質と環境の影響で高尿酸血症を示す一部の人に痛風が起こる。
高尿酸血症(一般に>7.0mg/dl)が必ずしも痛風と結びつくわけではないが、血清尿酸値が高いほど痛風発作を起こしやすくなる。尿酸の大部分は体内で合成され、多くは腎臓から、一部は腸管から排泄される。体内の尿酸プールの大きさは、合成と排泄のバランスの上に成り立っている。 従って、高尿酸血症の原因は、体内での尿酸産生の過剰か、あるいは排泄の低下(あるいは両方)であり、排泄低下型が最も多く約60%、産生過剰型は約10%、残りは混合型である。

8.臨床症状 1)痛風発作 痛風発作は、突然始まる母指基節関節(第一中足指節間関節)の激痛により特徴付けられる。
多くは腫脹、発赤、熱感などの局所炎症所見が著しく、発熱をきたすことがある。初回発作が母指基節関節に起こる頻度は、約70%で、発作開始直前に前兆(局所異常感)があることが多く、単関節炎のことが多いのですが、二つ以上の関節が同時、あるいは相前後して侵されることもある。
初回の発作の多くは、放置しても1週間以内に治まりますが、この間、尿酸低下剤により尿酸値を低下させると長引き劇症化する。
以後、無治療でも、発作は年に数回ないし数年に1回にとどまることが多いが、次第に他の関節(足関節、足背部、アキレス腱付近、膝関節、まれに上肢の関節)が侵され、発作の間隔は短く痛みは慢性的になる傾向がある。大関節ほど、また発作回数を重ねるごとに、1回の発作が長引きやすくなる。
発作は飲酒、過度な運動、過労、局所の打撲、外科手術、血清尿酸値の急激な変動(特に薬剤投与後)により誘発されたり、遷延する傾向にある。

2)腎・尿路結石 痛風発作以前に尿路結石症で発症する例もある。
結石症の合併は治療の有無によっても異なるが、痛風の10〜30%にみられる。
痛風腎による腎不全はきわめて緩慢な経過をたどるが、血清クレアチニン上昇が高度になった段階では、一般の慢性腎不全と同様に人工透析や腎移植を行わなければならなくなる。

9.検査 痛風発作の最も確実な証明は、関節液中に針状の尿酸塩結晶を貪食した多核白血球をみつけることである。
この結晶は通常の顕微鏡でも見えるが、偏光顕微鏡下で負の複屈折を示す針状物を証明すれば確実である。
発作時には赤沈値、CRPなどが異常値を示すことが多く、血液中の白血球が増加することも多くある。
血清尿酸値は最も大切なデータですが、発作直後や尿酸低下薬を投与されたあとは低下する傾向にあるので注意が必要である。血清尿酸値は体重の増加、アルコールの摂取、仕事量の増加や過労、激しい運動、脱水などにより増加しやすくなる。
尿酸塩結晶が関節周囲および関節内に高度に蓄積した例では、X線像で骨の萎縮、打ち抜き像、ひさし様の骨の張り出し、さらには破壊と変形が見られるようになる。 痛風腎の初期の所見は濃縮力の低下である。フィッシュバーグ試験の異常がみられ、さらに進行すると、クレアチニンクリアランスの低下、血清尿素窒素・クレアチニン濃度上昇と進んでいくことになる。
純粋な尿酸結石はX線透過性であるが、カルシウム成分を含む結石はX線写真に写る。腎杯・腎盂の尿酸結石は超音波検査でとらえる場合も多くある。 生産過剰型、排泄低下型、混合型を区別する基準は、1日尿中尿酸排泄量、尿酸クリアランスークレアチニンクリアランス比などである。しかし、一時的な原因が生産過剰であっても二次的に尿酸排泄が障害されるようになるので注意が必要である。

10.診断鑑別診断 関節液中あるいは結節内の尿酸塩結晶が証明されれば痛風の診断は確実である。しかし、実際の診療では結晶を証明できないことも多く、高尿酸結晶に加えて、突然の発症では24時間以内の炎症のピーク、著明な疼痛と腫脹、1週間以内の自然治癒、皮下結節の存在などに注意して診断することになる。 多くの例では痛風発作の診断は容易である。しかし、発作時や薬剤服用中は尿酸値が低下していることがあるので、薬剤中止2週間以上あとに再チェックする必要がある。 鑑別を要する疾患としては慢性関節リウマチ、回帰性リウマチ、変形性関節症、外傷性関節炎、化膿性関節炎、ライター病、乾癬性関節炎、サルコイドーシスによる関節炎、炎症を伴う外反母趾、種子骨骨折などであるが、上記の診断項目をチェックすれば診断が困難なことはまれである。

11.経過・予後 重症の痛風では、次第に関節破壊と腎不全が進行していくが、最近では薬剤によるコントロールにより、それほどまでになることはまれである。以前は腎不全による尿毒症が死因のトップを占めていたが、最近では心・脳血管障害と悪性腫瘍にその座を奪われた。 高尿酸血症を持つものは、健常者より心疾患・脳血管障害による死亡の相対危険度が高くなる。これには、血清尿酸値だけでなく、肥満・高指血症(特に中性脂肪の高値)・高血圧症も関係している可能性がある。高尿酸血症者はこれらを合併する頻度も高いことが知られているが、高尿酸血症がこれらの因子と独立した、死亡の危険因子であるかどうかは意見が分かれている。 薬剤などで血清尿酸値がよくコントロールされた例については、痛風発作・痛風腎などの予後は比較的よいが、腎障害が進行する例については、痛風腎ではなく、腎障害が一時的である可能性も考えるべきである。 しかし、完全に薬剤で血清乳酸値をコントロールした場合に上記の心疾患・脳血管障害による死亡の危険度を完全に正常コントロールと同じまで低下させられるかは、まだわかっていない。

12.治療方法 痛風治療のガイドラインによると、痛風発作があった場合には、即薬物治療となる。尿酸値が7.0mg/dl以上8.0mg/dl未満の場合で、痛風発作がなければ薬を使わずに生活習慣を見直すように指導する。8.0mg/dl以上9.0mg/dl未満で合併症がある場合は薬物治療、なければ生活習慣を指導する。合併症のあるなしに関係なく9.0mg/dl以上あれば薬物治療を行うことになっている。 それでは、発作の治療と高尿酸血症の治療を分けて考えることとするが、両者はしばしば相反する作用があるので注意が必要である。

1)発作の治療 コルヒチン(0.5mg)は発作直前の前兆期あるいは発作直後に有効で、他の関節炎には有効ではないため診断上有意義である。コルヒチンで発作が防止できないときは、非ステロイド抗炎鎮痛薬(インドメタシン、ナプロキセンなど)を用いるが、長期に服用するのではないから常用量の上限を用いてもよく、抗炎鎮痛薬のみでも発作を沈静化できることが多い。また、ステロイドの短期間の投与も有効である。

2)尿酸血症の治療 肥満、アルコール摂取、肉食などの是正は多少尿酸値を下げる。薬剤には尿酸排泄薬(プロベネシド0.25〜2.0g、スルフィンピラゾン0.2〜0.3g、ベンズブロマロン0.025〜15g)と尿酸生成阻害薬(アロプリロール0.1〜0.4g)がある。 両者とも確実に血清尿酸値を低下させるが、前者は尿中尿酸を増加させ、後者は低下させる。産生過剰型、若年性痛風、尿路結石の例では尿酸排泄剤のほうがよく、通常はいずれか一方を少量から始めますが、コントロール困難な例では尿酸排泄薬と産生阻害薬を併用することもある。血清尿酸値は薬剤に対してきわめて速やかに反応するが、体内の尿酸分布が正常化するのには時間がかかるので、発作は6か月くらいの間は起きる。血清尿酸値を4〜6mg/dlに維持するのが良好である。 薬剤登用中は血清尿酸値が正常でも、中止すると、また、元に戻ることが多く、長期投与が必要である。 尿路結石の防止のためには、重曹またはクエン酸製剤の投与による尿pHの調節(pH6.5くらいがよい)と飲水による尿量の維持が有効である。 高尿酸血症者は肥満、高指血症、高血圧症などの合併が多いので、これらの治療を行うとともに、尿酸を上昇させるアルコール摂取の制限、十分な飲水を指導しなければ成らない。

3)合併症による死亡 痛風は、その激しい症状とは対照的に、それを直接の原因とする死亡は、現在ほとんどないと言われている。過去には腎不全から尿毒症を起こして死亡する例が少なくなかったのであるが、血中尿酸濃度を管理する薬物療法の発達によって、そのような例をみることもなくなったと言われている。むしろ脳卒中や心筋梗塞で死亡する患者が多いといわれており、少なくともこれらの疾患とリスクを共有している可能性が考えられる。 平成11年厚生労働省患者調査による10万人当たりの患者数で表した痛風受療率では、70歳代をピークにして見かけ上減少に転じている。痛風患者の平均寿命が66歳と、日本人の平均に比べてかなり短いという西岡氏の報告からみて、合併症による死亡の増加が影響している可能性がある。

V.臨床試験の結果について 被験者は、本論文作成者本人一人です。年齢30歳で左第1中足指節関節に痛風発作を発症したが、薬物治療を継続しなかったため、1年後に右第4中足指節関節に痛風発作を再発症した。それ以降、昨年(46歳に至る)まで、薬物療法により治療を受け続けてきた結果、アルコール等の飲食物の摂取制限は一切行わない状態で、痛風発作の再発も無く、日常生活を暮していた。


表1.投薬錠数等の変化に対する測定結果表
採血日 投薬錠数(個/日) アルコール総量
※1 尿酸濃度(mg/dl) 備考
2004/5/13 0 150 10.2
2004/6/30 1 150 8.9
2004/10/21 0 150 10.2
2004/11/24 1 125 8.2
2004/12/16 1 125 8.5  
2005/1/21 2 50 6.6
※2 2005/2/23 2 0 6.9
※3 2005/3/31 2 140 7.3
※4 2005/4/8 0 50 8.5
※5 2005/5/13 1 25 7.8
※6 2005/5/15 1 25 8.4
※7 2005/5/23 1 25 8.2
※8 2005/6/24 1 35 8.5
※9 2005/7/28 2 170 7.2
※10
※1(アルコール総量)=(アルコール濃度%)/100×(飲酒量cc)
※2 灸(カマヤミニ):腎兪、足三里、太衝、公孫
※3 睡眠不足、後期試験期間中
※4 前日12時飲酒・軽食、毎一激しい運動(剣道)実施
※5 花粉症のため熟睡できず,灸(カマヤミニ):命門,腎兪,志室,太谿,水分
※6 若干睡眠不足、剣道試合2日前
※7 若干睡眠不足、剣道試合当日朝
※8 臨床実習期間中
※9 灸(カマヤミニ):腎兪、京門
※10 ほぼ毎日激しい運動(剣道)実施
そこで、今回、高尿酸血症が生活習慣病の一つであると言われていることから、被験者の日常生活等を変化させることにより、血中尿酸濃度がどのように変動していくのかを確認することにした。 具体的には、尿酸値の変動要因として考えられる尿酸産生抑制剤の投与量・アルコールの飲酒量・ストレスの増減・灸治療(カマヤミニ:弱)により、平成16年5月から平成17年7月までの1年3ヶ月にわたって、被験者である私自身の血液中尿酸濃度を計14回に渡って測定調査した結果、表1のとおり尿酸濃度が、6.6mg/dl〜10.2mg/dlの範囲で常に同一でなく、大きく変動していることが判明した(10.2,8.9,10.2,8.2,8.5,6.6,6.9,7.3,8.5,7.8,8.2,8.4,8.5,7.2)。 なお、表1の投薬錠数・アルコール総量の欄には、採血前5日間の平均値を記載するとともに、備考欄には、採血日の環境(ストレス等)について記載した。

1.薬物投与量による変動
担当内科医の指導により、尿酸産生抑制剤である「アロチーム100mg」を朝・夕と1日に2錠服用していましたが、リスク管理を十分に行うと言う条件で、投与量を1日ゼロ錠・1錠・2錠に変えた状況での尿酸濃度の変動調査を行いました。その結果は、図−3のとおり、投薬量1日ゼロ錠では尿酸濃度は8.5〜10.2mg/dlの範囲、投薬量1日1錠では尿酸濃度は7.8〜8.5mg/dlの範囲、投薬量1日2錠では、尿酸濃度は6.6〜7.3mg/dlの範囲であった。

2.飲酒量による変動
前述してるが、血中尿酸濃度は、飲酒により、尿酸排泄抑制作用と尿酸産生亢進作用があると言われているため、日常の飲酒量を変化させ、それにより尿酸濃度がどのように変動していくかを調査した結果は、図―4のとおりであった。 ただし、アルコール飲料には、アルコール濃度が異なるビール・焼酎等の種類が多数あるため、血液検査前の5日間を同種類・同量の飲酒を行うこととし、種類ごとに次式のとおりアルコール総量(cc)を算出し、その合計量「アルコール総量」と尿酸濃度の比較を行った。
(アルコール総量)=(飲酒量(CC))×(飲酒アルコール濃度%)÷100


3.ストレスによる変動
ストレスが尿酸濃度にどの程度影響しているかを知るため、5月15日に開催された堺市種目別剣道優勝大会に出場する私の尿酸濃度について、調査を行った。 試合前の私にとっては、昨年、個人戦優勝と言う記録を出しており、試合の1週間前には、「私の試合を見て、勉強するように」と、私が指導している20名近い子供達に指示を出したので、私自身が、今回の大会において、みじめな敗北をしてはならないと言うストレスを十分に感じており、そのストレスは異常なものであると言っても過言ではなかった。 そのため、数日前からアルコールの飲酒量を極端に減量し、1日当たりのアルコール総量を25mg/dlに抑えつつ、投薬量を1日1錠にしながらストレスが尿酸濃度に及ぼす影響を調査した。 その結果は、試合当日の2日前である13日(金)朝には、尿酸濃度が7.8mg/dlと若干高めの数値であったが、最もストレスが感じていたであろう試合当日の朝9時過ぎの尿酸濃度は8.4mg/dlに上昇、なんと大会出場までの2日間で尿酸値が0.6mg/dlも上昇した。

4.灸治療による変動
 採血前の1週間以上灸治療を行った1/21,4/8,6/24の3データの尿酸濃度の平均値は、7.9mg/dlであり、灸治療を行わなかった他の11デーダの尿酸濃度の平均値は、8.3mg/dlであった。

W.考察
今回測定した14個のデータを見るかぎり、血液中の尿酸濃度は、常に同一の状態が継続していることがなく、日常の飲食物・ストレス等の生活習慣の変化により、常時、変動していることが良くわかった。

1.薬物投与量による変動
尿酸産生抑制剤の投与量は、1日2錠であれば痛風発作のリスクが少なくなるが、投薬量1日ゼロ錠では危険な領域に入ると考えられた。 しかしながら、同一の投与量であっても、尿酸濃度が変動しているのは、飲食状況や増減するストレス等が原因であり、日常生活習慣による多様な要因が関係していると考えられた。

2.飲酒量による変動
アルコール総量が少量であれば尿酸濃度が低く、増えるに従い尿酸濃度が上昇するという傾向があると考えられた。 しかしながら、ここでも言えることであるが、飲酒されるアルコール総量が同一であっても、尿酸濃度が変動するのは、尿酸産生抑制剤の投与量や増減するストレス等の日常生活習慣による多様な要因が関係していると考えられた。 3.ストレスによる変動 日常生活習慣の飲酒量・投薬量等を同一にした状況下で、ストレス増加による尿酸濃度の上昇が、短期間で0.6mg/dlも上昇したことから、尿酸濃度の変動については、現在社会構造が生み出すストレスの影響が非常に大きく関与していることが考えられた。

4.灸治療による変動
 尿酸濃度は、灸治療の無い場合の平均値が8.3mg/dlで、灸治療の有る場合の平均値が7.9mg/dlであり、灸治療により0.4mg/dl減少したことから、高尿酸血症患者に対しては、灸治療効果が期待できると考えられた。  しかしながら、尿酸濃度は、投薬量・アルコール等の飲食・ストレス等にも影響を受けることが考えられるため、今後、長期間に渡り、鍼灸治療を継続し、体質改善が確実に行われていくことを確証していきたいと考えている。

X.結語
高尿酸血症患者の尿酸濃度については、日常生活のさまざまな要因により変動している。そのため、尿酸濃度が上昇すると考えられるような生活習慣(尿酸濃度を上昇させる飲食物の摂取や、大きなストレスを受ける等)を行った場合には、ただちに、体内尿酸濃度を低下させる薬物の投与量を増加させる等徹底した自己管理を行う必要がある。 また、尿酸濃度を低下させるなど、鍼灸治療によるさまざまな体質改善効果を確証していくため、一生涯に渡って鍼灸治療を私自身の身体にも行っていくこととする。

Y.参考文献
1.高久高麿、尾形悦郎、黒川清、矢崎義雄
「新臨床内科学第8版」
2.平成1年卒論第15期生
「痛風」
3.鹿児島大学病院内科教授 納光弘
「痛風はビールを飲みながらでも治る!」



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